"キズ"のあと

"瘢痕組織"は、外科手術後に同じ場所に同じ傷が再度発生することに備えてからだをより強くする為に形成される。

手術は健康を回復する為、或いは命を救う為に必要でした。

しかし、筋肉と筋膜の層は切り傷を治癒する為に収縮して厚くなり、この筋膜ネットワークの中の緊張はこの切り傷がある場所を超えて全身に拡がります。

あまり知られていない事ですが外科手術は全てこの否定的な副作用を持ちます。

表面に瘢痕組織があまり見えない場合でも、皮膚の下の筋肉や結合組織、より深い筋膜層内に

瘢痕組織が広範囲に蓄積されている可能性はある。

筋肉と結合組織が隣接する層の間には少量の濃い液体があり、その為に筋肉と結合組織とは癒着せず、滑って移動するのを可能にしています。

しかし、手術時にこの液体は空気に晒されて乾燥し各層が癒着します。

また外科的な切開、或いはどんな傷の跡も結合組織細胞は過剰な膠原(コラーゲン)線維を生産します。

これは筋肉や筋膜の層を隣接する層と結合させてしまいます。

二つの層が癒着したまま回復すると、かつての様に互いの上を滑らなくなります。

多くの外科医はこれを避ける為に時間をかけて一つの層を縫い合わせ、次にその上の層を縫い合わせる様にし色々な層が一つに縫い合わされる事がない様に気を配ります。

しかし、残念ながら一部の外科医はこの重要性を理解せず、時間とお金を節約して様々な筋肉や筋膜の層を一緒に縫い合わせてしまいます。

その結果、筋肉と結合組織はその縫い合わされた領域での柔軟性を失います。

瘢痕組織はより厚く硬く感じられ表面だけでなく、からだのより深くにも形成されます。

帝王切開では、瘢痕組織は皮膚の表面よりずっと下の子宮まで届きます。

胸部か腹部が切開された場合、瘢痕組織は呼吸の為に必要な空間を制限します。

手術後の傷痕は全てのものをその部位へと引き寄せます。

個々の層は乾いて一緒にくっつき動きは制限されます。

からだ前面の結合組織が緊張すると、からだ前面が短くなります。

そして頭が更に前方下方へと引っぱられます。

ですから胸部か腹部の手術をした人には瘢痕組織の緊張を解放する技術を持った熟練したマッサージ・セラピストを見つける事を勧めます。

瘢痕組織の治療にあたっては筋肉と結合組織の個々の層にある動きを妨げる癒着に働きかけます。

その緊張と癒着を解放する事で、各層が再びそれぞれ自由に滑る事ができる様にします。

瘢痕組織を解放すると頭と首の可動域が広がり、背骨の柔軟性が戻り姿勢が改善されます。

この変わり様に自分はいつも驚かされます。

・小さい頃の転んてできた切り傷の痕

・綺麗になったけど若い頃に盲腸の手術をした痕

・学生時代のスポーツ時の傷痕

・帝王切開後のお腹の術創部

・夫婦喧嘩でできた傷

・整形手術

"瘢痕組織"ができるのは自分の體を守る為。

それが過剰に働き様々な根深い影響が起きている可能性。

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