安居楽土

からだを健やかにするには、とにかく近いところから大事に整えていきます。
"近いところ"とは、より日常的に行う動作であったり、からだの在り方であったり、家庭での暮らしです。

"近いところ"に対して"遠いところ"とはなにかと言うと、普段はあまり行わない動作であったり、知っても自分にとって影響が少ない情報などです。

今はネットで簡単に凡ゆる情報が得られますが、そこで「話題のサプリ」が目に入ったとします。
ネット通販ではポチるだけで、あっという間に自宅に届きます。
最新技術で製造された画期的なサプリで、なんだか栄養価もすごいと説明されて、自分の健康の為だと買って飲む。
巧みなマーケティングにより、そんな人もよく見ます。

しかし、そんなサプリに手を出す前にするべき事があります。
それは、現状の自分のからだの在り方や、日常動作、暮らしなどの"近いところ"を整える事。
その結果としての良い代謝を維持する事です。

からだに無理を強いる姿勢や動作で、内臓や筋肉に負担がかかった代謝が悪い状態でサプリを飲んでも、焼け石に水になりかねない。
サプリの効果効能がほしいなら、不良姿勢を是正するとか、日々口にしているものを見直すとか、自分の"近いところ"から整えていく方が良いです。

そもそも、近くを疎かにして遠くの飛び道具で健康になっても長続きしません。
変な依存を生じさせる事にもなります。
というのも、目新しい情報や特殊な運動などを知ると、なんとなく得した気がしたり、刺激的だったりするのです。
近くの事、いつもしている事は、面白みがありません。
わたしたちは自分の近いところには、あまり目がいかないのです。

しかし当然ながら、自分に近いところこそ重要です。
わたしたちが普段行っている日常動作は、繰り返し繰り返し回数を重ねて、わたしたちの気付かないうちにからだに多大な影響を及ぼしています。
たまに行う運動や、1日1回飲むものよりもよっぽどからだをつくる根拠になっています。

そんなわたしたちの日常の本拠地になっているのは家であり、そこで一緒に暮らす家族です。
家族との関係が良いか悪いかは、家を出てからも様々な事に影響します。
外でどんなに楽しいイベントがあっても、家に帰って家族との関係が悪ければ、その楽しさは消えてしまうのではないでしょうか。

更に、自宅が汚れているか、清潔で整頓されているかも同じです。
たまにお出かけをして、綺麗なホテルに宿泊すると良い気分になれます。
しかし家に帰って、またぐちゃぐちゃな空間に身を置くのであれば、外のホテルは単なる現実逃避です。
綺麗なホテルでの体験も良いですが、家が整理整頓されて快適であれば、そもそも快適さを求めて外に出る必要性も減ります。

これまで沢山のお客様を見させて頂いてきて、プライベートな話を聞かせて頂いたり、親しくなればご自宅に招待して下さるお客様まで広くいますが、この"近いところ"が疎かにしている人で健康と言える人に出会った事がありません。

近いところを整備して、日常の力を増していく。
その重要性・本質性は健康面でもそうですが、家や人間関係なども全てが同じです。
しかしわたしたちは、つい遠くの事に気を取られがちなので、それを整体パーソナルトレーニングに於いて改めて確認し、実際の動作などを見直すのです。

そもそも健康とは何でしょう?
これは結構奥の深い設問です。
近いところ・遠いところで言うと、わたしたち多くの現代人は"健康"を遠い理想として置いているのではないでしょうか。
遠くにあるので魅力的に見えるし、近いところをすっ飛ばしてでも手に入れたいと思ってしまうのではないでしょうか。

健康とは、近いところを大切にした結果得られるもの、起こる現象だと思っています。
とても健康そうに見える人は、近いところを大切にした人だと思います。
これは"健康"を"幸せ"に置き換えても同じ事が言えます。
近いところである家庭や家族、家の整理整頓を大切にした人が幸せそうに見えるんだろうと思います。

色々な意味で"家"がなぜ重要かと言うと、上手くいかなかった時は逃げ帰る場所になるし、上手くいって成功した時はその成功で得たものを投入できる"エネルギーの捌け口"の機能を果たすから。
この"成功の捌け口"がすごく重要で、自分の成功を自分だけで処理すると、情報量が増え過ぎて処理が追いつかず周囲を巻き込んで新たな不幸を作り出しかねない。
"家"は成功を無限に吸収できるので、個人として有頂天になる事を防いでくれる。
捌け口のないエネルギーは危険です。
多くの人は"成功"を夢見るが、まずその捌け口(行き先)をしっかりさせる必要があります。

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