「コレステロール値が高いですね」
こうした忠告を受けた瞬間、コレステロールは”からだに悪いもの”という印象を深く刻まれます。
しかし実のところ、コレステロールは生命活動に不可欠な”脂質”であり、細胞膜・ホルモン・胆汁酸・ビタミンDの材料として体内で常に活躍しています。
コレステロール値が高いのは結果であって、原因ではありません。
からだのどこかが炎症を起こしたり、血管が傷ついたりすると、修復の為に材料であるコレステロールが動員されます。
つまり
「コレステロールが高い=修復が必要な状態」
が正解◯
それを誤解し、無理にコレステロールを薬で下げてしまったら、修復の材料そのものを奪う事になります⚠︎
本当に問題なのは「コレステロールが多い事」ではなく、酸化したコレステロールが増える事です。
・糖質の摂りすぎ
・トランス脂肪酸
・ストレス
・睡眠不足
これらが活性酸素を生み、修復の為に働くコレステロールを”錆びた油”に変えてしまう。
動脈硬化の原因はコレステロールの「量」ではなく「質」。
からだを錆びつかせたのは、あなたの生活環境なのです。
守るべきは、コレステロールを”減らすこと”ではなく、酸化させない事。
自然塩・良質な油・抗酸化ミネラル(亜鉛・マグネシウム)を摂り、精製食品とストレスを減らす。
コレステロールは敵ではなく、修復の味方。
近年では、高齢者や閉経後の女性で「LDLが高い人ほど死亡率が低い」という研究報告もあり、LDLが一律に悪いという前提が揺らぎ始めています。
また、コレステロールは、感染症や炎症からからだを守る働きもしており、過度に下げる事で免疫機能や修復能力を落としてしまうリスクも無視できません。
健康診断でLDLコレステロールの数値が基準値を超えると、コレステロール値を下げる薬(スタチン)の処方を受ける事があるかと思います。
「予防の為に」
「心筋梗塞を防ぐ為に」
といった言葉が添えられることが多く、スタチン系の薬剤は現在、世界中で数億人が服用している最も処方数の多い薬の一つとなっています。
スタチン(Statin)は、HMG-CoA還元酵素というコレステロール合成の鍵酵素を阻害する薬です。
これにより、肝臓でのコレステロール合成を抑制し、血中のLDL値を下げる事ができます。
一見すると理にかなっている様ですが、この酵素は、コレステロール合成だけでなく、他の重要な生理作用にも関与していることが、次第に明らかになってきました。
スタチンの長期使用により、以下のような副作用が報告されています:
- ミトコンドリア機能の低下
→ コエンザイムQ10(エネルギー産生に必須)も同じ酵素経路で作られるため、枯渇する
→ 倦怠感・筋肉痛・パフォーマンス低下などの「スタチン筋症」 - ホルモン低下
→ 性ホルモンや副腎皮質ホルモンの合成にもコレステロールが必要
→ リビドー減退・うつ症状・不眠などが生じる可能性 - 認知機能障害
→ コレステロールは脳の神経伝達やシナプス形成にも不可欠
→ 一部では認知症リスクとの関連も指摘されている
つまり、単に”数字を下げる”為に、本来必要な生理活性物質まで抑え込んでしまっている可能性があるのです。
もちろん、既に心筋梗塞や脳卒中を起こした人にとって、再発予防としてのスタチン使用は医学的意義があります。
しかし、まだ発症していない健康な人に対して、ただLDL値が高いというだけで一律に投薬するのは疑問が残ります。
スタチンを処方されるよりも先に:
- 食事の質(とくに加工油と糖質の制限)
- 睡眠・運動・ストレスマネジメント
- 抗酸化対策(ビタミンC、E、ポリフェノール)
- 炎症を抑える生活習慣
といった根本的な体質改善こそが、長期的にからだを守る道であると考えます。
これまでの健康管理は「LDL値」や「中性脂肪」などの数値だけを指標にしてきました。
しかし、コレステロールが上がっているのはからだの防衛反応である事が多く、むしろ”結果”でしかありませんでした。
脂肪も、糖も、コレステロールも、敵に仕立てられたものの正体は命を支える栄養素であり構成要素でした。
それを、使い方を誤ったり、過剰に摂取したり、誤った文脈で評価した時、はじめて”害”に転じるのです。
わたしたちは今、からだの真実に立ち返る必要があります。
それは単なる数字ではなく、からだがどの様に働き、修復し、環境に適応しているかという、全体性の視点です。
健康とは、数値を整える事ではなく、”状態"を調える事。
からだは、常に「今必要な事」を最優先に選択し続けています。
コレステロール値が高くなるのも、それ自体に意味がある。
その背景には
・炎症があるか
・酸化が進んでいるか
・糖化によるダメージか
・精神的ストレスが慢性化しているか
…など複雑な背景が隠れており、体内バランスを総合的に見る力こそが、これからの時代に求められる”医療リテラシー”です。

