消化力が弱い人にはいくつかのパターンがある。
まず、胃酸や消化酵素の分泌が少ないタイプ。
これは副交感神経がうまく働いていない場合や加齢・ストレスによって起こりやすく、タンパク質の分解が滞る⚠︎
次に胆汁や膵液の分泌不足があるタイプ。
これも肝臓や膵臓の働きが低下している場合や脂質過多の食事で負担がかかっている場合に見られ、脂質の消化・吸収に支障をきたす⚠︎
また、小腸での吸収力そのものが弱い人もいて、この場合は腸粘膜の炎症などで絨毛が十分に働かず、栄養が吸収され難い⚠︎
さらに、咀嚼不足も見逃せない要因である。
よく噛まない事で食べ物が大きいまま胃に送られるだけでなく、唾液の消化酵素による前処理も不十分になる。
加えて、咀嚼そのものが迷走神経を刺激し、胃酸や膵液分泌を始動させる役割を持つため、咀嚼不足は「消化のスイッチを入れない」事に繋がる。
寝返りと同じで"咀嚼もセルフ整体"でもあります。
咀嚼数が少ない事は、整体の頻度が少ないのと同義なので、からだの歪みやコリが残り易い⚠︎
食品添加物なんかも摂らないに越した事はないけど、あれもこれも添加物が入ってるからと怯えて、からだへの信頼を欠くより、咀嚼を沢山する事でその毒性が打ち消される事はもっと知られた方が良い。
そして姿勢不良もまた消化を阻害する。
猫背や骨盤後傾によって胃腸が圧迫されると、蠕動運動や内容物の移動が滞るし、横隔膜の動きが制限されて呼吸が浅くなる事で、副交感神経の働きが弱まり、結果として胃腸の血流や分泌機能が落ちる⚠︎
つまり、消化が弱いという現象は単に「胃腸が弱い」といった一面的な問題ではなく、酵素や胆汁の分泌不足、自律神経の働き、腸粘膜の状態、咀嚼の習慣、姿勢や呼吸といった複数の経路が絡み合って生じている。
それぞれの消化不良パターンに応じた対策を整理してみます。
↓↓↓
①胃酸や消化酵素の分泌不足
→食前に梅干し、レモン水、リンゴ酢を少量摂る事で胃酸分泌を刺激する◯
→タンパク質は消化酵素サプリ(ペプシンやパパインなど)で補助する事も有効◯
→交感神経優位だと胃酸が出辛くなる為、食事前に深呼吸をするのも良い◯
②胆汁や膵液の分泌不足
→良質な脂質(オリーブオイル、MCTオイルなど)や少量、またはウルソ摂る事で胆汁分泌を促す◯
→脂肪代謝に関わるタウリン、コリン(卵黄、レバー、大豆に豊富)を意識的に摂取◯
→膵臓への負担を減らす為、精製糖質や過剰な脂質を避ける◎
必要に応じて膵酵素サプリ(リパーゼ、アミラーゼなど)を活用できる◯
③小腸での吸収力低下(腸粘膜の炎症・リーキーガット)
→辛いものやアルコールなど刺激物を減らす◎
→腸粘膜修復に役立つLグルタミン、亜鉛、ビタミンAを摂取◯
→発酵食品やプロバイオティクスで腸内細菌叢の多様性を回復させる◯
④咀嚼不足
→食べ物が細かくなるまで噛む◎
→食べながらスマホやテレビを見ず、食事に集中する◯
→硬めの野菜や繊維質のある食品を取り入れて自然と噛む回数を増やす◯
⑤姿勢不良による消化機能低下
→無理のない範囲で椅子に深く腰をかけ、背筋を自然に伸ばして食事をする◯
→食後すぐに横になるのではなく、軽く歩く事で胃腸の蠕動運動を助ける◯
→整体・パーソナルトレーニングなどで姿勢改善のエクササイズを取り入れる◎
姿勢というのは単に「背筋を伸ばせば治る」というような単純な問題ではなく、胸郭の硬さや肩甲骨まわりの動き、骨盤の傾き、腹筋・背筋のバランスなど、複数の要素が絡んでいます。
その為「自分で意識して直す」だけだと一時的に背中を反らす様な動きになり、逆に腰痛や肩コリを悪化させるケースも多い⚠︎
消化力の弱さには、生活習慣や神経系・姿勢・咀嚼などによるケースが多い一方で、まれにピロリ菌感染(胃酸分泌の低下 → タンパク質や鉄・亜鉛・ビタミンB12の吸収不良 → 貧血)や逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、膵臓や胆のうの機能低下、小腸内細菌異常増殖(SIBO)といった消化器疾患が背景に潜んでいる場合もある。
生活改善やセルフケアでは根本的に解決できない事例もあるので、慢性的な胃もたれや不快感が続く時には、検査を受けて確認しておくのも大切◯